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はちうえはぼくにまかせて(ペンギン社)

はちうえはぼくにまかせて   ペンギン社 ジーン・ジオン作 マーガレット・ブロイ・グレアム絵 もりひさし訳
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この絵本を開く日本の子どもは、たいへん身近な親しみと、ちょっとちがった生活感をうけとめるでしょう。
たとえば、トミーとくらべて、草花が好きで水をやるところなどはおんなじ、でも、よその鉢植をあずかって世話しアルバイトにするところなど、あれあれ?とも思うでしょう。そうした共感とちがいとが魅力なのです。
夏休みごろいそがしい仕事をもつお父さん、不満をあからさまに表情とします。お母さんはのみこんでトミーのやることを見守っているようです。
近所の人、つまり一般の家庭では夏休み家族揃ってバカンスです。海山へ出かけることや、鉢植がどこの家にもあることなどから、自然を求めているという環境が想像できます。
こうした設定のなかで、トミーはどんどんのびる鉢植をいっしょうけんめい世話し、それを契機に心も成長します。どんでん返しにハッピーエンドとなるお話の楽しさに合わせてうけとめてほしいところです。
おなじコンビの「どろんこハリー」のように、この絵本も使っている色は青と黄、それを重ねた緑だけ。ソフトなえんぴつがきの上にその淡彩をのせています。静かな画面がなんともあたたかく見えるのは、作者たちがトミーと自然によせる愛のこころを描いているからでしょう。
(あとがきより)