絵本と日本語教育
2011年1月23日

皆さんはご家庭でお子さんにどのくらい絵本や本を読んであげていますか?
最近は、多様なおもちゃがあり、Wiiは家族で一緒にゲームを楽しむことができますが、子どもと一緒に絵本を読むということには、また格別な楽しみがあるのではないでしょうか。

保護者の皆さんが楽しそうに絵本を読むことにより、子ども達もその楽しい世界に引き込まれていきます。いつもは大人と子どもの世界は別のものですが、一緒に本を読むことで世代やその他諸々のギャップを超えて同じ空間を共有することができます。

それでは、絵本を読むということでいったいどんなことが育つのでしょう。

①集中力
絵を見て言葉を聞いて内容を理解します。集中して聞かなければ絵だけでは内容を把握できません。

②考える力
言葉そのものの意味や言葉の裏にある意味を考えます。どうして登場人物はそうしたのか?、どうしてその場所へ行ったのか?など、ストーリーの深い意味を探ろうという欲求が生まれてきます。

③想像する力
言葉の世界から映像の世界へ想像力を広げます。現実では、ありえない世界や魔法やSFの世界などを体感することができます。テレビやDVDは見る方は受動的ですが、絵本では読み手が積極的に絵本の世界に関わっていくことができます。

④語彙力
家庭内で使う日本語は限られています。いろいろな絵本を読むことにより、新しい言葉やまだ体験したことのない場面で使われる言い回しなどに出会うことができます。絵本を楽しく聞く体験を経て、子ども達は自分でも本を読んでみたいという欲求に駆られ、字を覚えるようになります。

⑤文章を組み立てる力
正しい文章で話したり、書いたりする力を育てます。親子の会話では、主語を省いたり「て、に、を、は」などの助詞を省いたりしても意味を理解することができますが、絵本ではきちんとした文章でストーリーを伝えなければ話の筋が理解できません。そのため、きちんとした文章を体得することができます。

⑥予測する力
次に展開される話や言葉を予測する。予測する力は言葉を理解する上でとても大切なのだそうです。それは、私たちが文字を読んだり、会話を交わしたりする時には、常にこの「予測する力」を働かせているからなのです。

これら6つの要素は、これから子ども達が成長していく上でどれもとても大切なものばかりです。
特に英語の環境に育つ私たちの子どもにとって、日本語で書かれた絵本を読むことは、日本の情景や文化背景を感じ、表現豊かな日本語を学ぶための最良の教師となるでしょう。
そして何よりも大切なことは、絵本を読むことを通して、子どもが親の息づかいや温もりを感じながら親を独占できる喜びに浸り、親子の絆を深めることができるという事ではないかと思います。本を読み、それについて親子で話す。感想を話したり、続きのお話をいっしょに考えたり、本をきっかけに親子の会話が広がることでしょう。