子どもが本を好きになれば、それは彼らにとって一生の財産です
2012年12月28日

おーすとらりあ こどもとしょかんは、約5年前に日本語絵本の宅配・貸し出しという、今までに例のないサービスとしてスタートしました。
サービス開始当初より、ご家庭に「温かい日本語環境のひととき」をお届けするために、「対面を基本とした訪問サービス」と、「絵本の質の徹底的な向上」という、こだわりがあります。

5年の間に培われてきたこどもとしょかん独特のサービス精神は、これからも変えてはいけない大切な価値観だと信じております。
デジタル全盛の今日、子どもに読書をさせようとすれば、「電子書籍」という方法もあるかもしれませんが、 「絵本を手にとって、親子で共に楽しむ」ことに重要な意味があると考えている私達は、子どもたちの為にも、あえてアナログな方法を徹底しようと心に決めています。

その一方で、お客様のご希望に応じてサービスの価値をより高めるための手法や手段は進化させていきたいとも考えております。
この点については、是非、皆様の声をお聞かせください。

また、絵本の質の向上に関しては、5年10年…20年後も覚えていてもらえるような名作の数々を揃えることが、私どもの使命だと考えます。
一冊の本との出会いが、子どもの人生を変えてしまうことがあるかもしれません。
師にも友にもなりうる本。
子どもが本を好きになれば、それは彼らにとって一生の財産です。

話は変わりますが、会員様には私の長男(本の虫です)が中学生と知るや、「いつまで読み聞かせを続けたんですか?」または、「いつまで続けたらよいですか?」とよく尋ねられます。
答えは、「子どもがもういいよ、と言うまでいつまでも!」です。我が家の場合は、面白そうな本を見つけると今でも一緒に読みます。

たとえ彼らが字が読めて、一人で本を読めるようになったとしても、「自分で読むこと」と、「親に読んでもらうこと」とは別です。お母さん、お父さんと一緒に過ごす読み聞かせの時間が楽しいことに意味があるのです。
きっと、既にそう感じていらっしゃる方も多いことでしょう。
是非、「いつまでも!」絵本を一緒に楽しんでください。子どもと一緒に感動してください。
絵本を読んでもらえる喜びが、子どもを本好きにします。

ただし、一点だけ、注意としてお伝えしたいことがあります。
残念なことに、過去の会員様の中に絵本を日本語の教科書のように使用してしまい、お子さまを本嫌いにしてしまったケースがありました。
絵本は、確かに日本語環境の充実には素晴らしい力を発揮しますが、あくまでも楽しむものです。
親が言葉に出さなくても、「さあ、日本語の勉強をしますよ。」という気持ちで絵本を持ち出せば、子どもを本嫌いにしてしまいかねません。
この点のみ、心にお留め置きいただければ幸いです。

さて、先に述べましたように、絵本は日本語環境の充実には素晴らしい力を発揮します。
ご家庭によって目指すところは様々かと思いますが、子どもに無理なく日本語を身につけさせてあげたいと願うのであれば、可能な限り、毎日20分、子どもと絵本をはさむ時間を作るようにしてください。

日本語育児に関する悩みをお持ちの方からご相談をお受けすることがありますが、よくよく話を聞きますと、必ずと言っていいほど読み聞かせの時間を十分に取っていません。
10冊の絵本でさえ、一ヶ月の間に読みきれないという方もいらっしゃいます。
反対に、「毎日3,4冊を楽しんでいます」 「20分ほど読み聞かせの時間を作っています」 という方々からは、あまりそのような悩みは聞かれません。

家事と仕事の両立、育児の忙しさの中で一日20分を作る大変さは、私自身も二児の母として、そして仕事を持つ身として理解をしているつもりです。
しかしながら、何か出来る方法はありませんか? 
例えば、早起きをして家事を先に済ませる、(仕事を持つ方は)少し早めに出発する、家族と相談して読み聞かせの時間枠を決め、何よりも優先する、赤ちゃんのお世話がある方は(いつも我慢をしている上のお兄ちゃん、お姉ちゃんのために)絵本の時間だけちょっと我慢してもらう(夫または妻、祖父母にお願いしましょう!)、少しくらい子どもの寝る時間が遅くなっても気にしない、など。
他にもいろいろと方法はあるかと思いますが、子どもの為に何とか20分の時間を確保出来るよう努力していただきたいのです。

また、毎日3,4冊の本を読むために、ご家庭に絵本を100冊以上お持ちでない方は、言うまでもなく月10冊のレンタルではとても足りません。15冊以上を利用して、毎日3,4冊を読むようにしてみてください。確実に効果が上がります。
特に2歳から4歳かけては、この20分間が後々の大きな違いを生みます。
この時期に理解出来る言葉が増えないと、お話が長くなった時に読書内容の理解が難しくなります。

子どもの日本語環境を充実させるということは、その子の人生において大きな贈り物になります。それは彼らに大切な「人生の選択肢」を与えるということ。
出すぎたことを申し上げるようですが、彼らが大人になったときに、「親が日本語を教えてくれて良かった」と思ってもらえるよう努力することが、海外で暮らす私たち親の使命ではないでしょうか。

今年も会員の方々からたくさんのメッセージや子どもたちとのエピソードを頂戴いたしました。ご訪問の際のお話や、不在時交換の際のメモ、Eメールやお手紙、カード・・・などなど、本当にありがとうございました。
「この絵本は泣けて最後まで読めなかったんです(笑)。」「あの育児コミックは最高に笑えました!」「今日は絵本をお返しする日だからって、また全部読まされたんですよ」「子どもたちが言葉をどんどん吸収しているようで嬉しい。」「来年もよろしくお願いします!」 と言っていただけると本当に嬉しいです。

おーすとらりあ こどもとしょかんは、今年も様々なことに挑戦し一年間頑張ってまいりました。
2013年もたくさんの感動を皆さまの元へお届け出来るよう全力を挙げて取り組んで参りますので、ご指導、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

子どもたちの健やかなご成長をお祈り申し上げながら、今年最後のご挨拶とさせていただきます。

それでは皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。
また来年お会いしましょう!