就学前後の子どもたちをもつ会員様からのお悩みと問題点、並びに赤ちゃんへの読み聞かせについて
2014年12月29日

二年前の年末のご挨拶の際に、「絵本を手にとって、親子で共に楽しむことに重要な意味がある」 とのお話をさせていただきました。
今回はもっと具体的に、最近多い就学前後のお子さんをもつ会員様からのお悩みと問題点について触れてみたいと思います。
赤ちゃんをお連れの方にも参考になる点があるかと思いますが、以下長文になりますので、ご興味のある方のみお付き合いください。

見聞きするなどしてご存知の方も多いかと思いますが、 子どもが小学校に上がると、子どもの口から出てくる言葉は、英語の占める割合が急激に大きくなります。
学校生活で一日6時間以上を英語環境で過ごし、勉強も遊びも英語なのですから、当然のことかと思われがちです。

子どもの帰宅後、親は宿題の時間に付き合うことになりますが、 ここでも英語の絵本を読んだり、英語の単語のつづりをチェックしたりしているうちに、親としては日本語よりも英語の出来のほうが気になりだします。
実はここで、「英語のほうが今は大事かもしれない」と、日本語を諦めてしまう方が多くいらっしゃいます。

でも、ちょっと待ってください。
一方で、「学年どおりの日本語力をしっかり維持しつつも、現地校での学業(英語)においても優秀」 というお子さんがいます。
いったい何が違うのでしょう・・・・? ママが専業主婦で子どもの勉強を見る時間がたっぷりあるから? 日本語教育にも英語教育にもお金をかけているから? 親が先生などの教育関係者や高学歴だから?
それとも、その子が生まれつき特別な能力を・・・?
子どもの日本語力が高い上、就学してから英語を含む学力の高い優秀な子どもになってくれたら、親としては嬉しいですよね。

日本語絵本の読み聞かせを勧めるサービス業を始めて7年、「日本語力が高く、なおかつ現地校での成績も優秀なおこさん」を何人も見てきました。
驚くことに、共働きの、教育に特別なお金をかけていない、親は教育関係者でも高学歴ない、ごく普通のご家庭から育っている子どもたちです。
私自身の育児の経験と、オープン以降何百人かの子どもたちの成長を間近でみてきて、このような子どもたちの育つご家庭の共通点に気付くようになりました。

日本人家庭であっても、子どもの日本語レベルはいつまでも5歳児止まりというケースがあります。
反対に、両親が英語のネイティブスピーカーであっても、日本と同じ日本語力を持つ子どもが育っているケースがあります。

子どもがどうこう、環境がどうこうではないのです。親の決意次第なのです。
「就学前までどうするか」と「就学時にどうするか」は、親が決めておかなければなりません。

以下にお話させていただくのは、子どもたちではなく、「親が主役」です。
今回初めて、ニュースレターでお話させていただきます。研究者や専門家ではないので、数字等統計をとっていない点についてはご容赦ください。

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「子どもの日本語力が高く、就学してから英語を含む成績の優秀な子どもさんを持つ親の共通点」

一、赤ちゃんの時から、あるいは妊娠時から「日本語で育児をする」と決めている。
二、子どもに日本語のみで話しかける姿勢を崩さない。
三、パートナーとその親の理解を得ている。
四、最低でも一日に三冊以上、30分以上かけて絵本の読み聞かせをする。(一対一の会話を含めて1時間が理想)
五、当サービスからは「 子ども一人に対し月20冊以上 」を利用している。(月40冊数人含む)

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特に、一と二、に関しては、みなさん確固たる信念を持っていらっしゃいます。
パートナーが英語、もしくはその他の言語でしか話せない場合であっても、自分自身が子どもに対して日本語で話す姿勢は決して崩しません。
子どもにも自分に話す言葉は日本語に徹底させます。(重要) 兄弟姉妹間の会話も日本語であれば最強です。

三、に関しては、難しいところもあるかと思います。
「将来英語圏で生活するのだから日本語なんて必要ない、英語が遅れるほうが心配だ。」と考えるご家族の方もいらっしゃるでしょう。

ところが、最新のバイリンガル研究では、「マイナーな方の言語(ここでは日本語)を幼児期にしっかりしてきた子どものほうが、就学してからの学力が高い」 という結果が出ています。
また、読み聞かせを根気よく続けていることで、子どもの「人の話を聞く能力」が高くなります。就学後、授業で先生の話に集中でき、学んでいることが一度で頭に入るかどうかで学力に差が出ることは、簡単に想像ができますね。
小学1年生の時点で学力の高い子は、卒業までその高さを維持するとの研究結果も出ています。
ご家庭で十分に話し合い、理解していただく必要があるかと思います。書籍やネット上で資料を集めて理解していただくのも良いでしょう。

四、に関しては、時間の確保が難しい問題でもあります。
でも、どうにか工夫して時間を見つけてほしいのです。読み聞かせをする期間はあっという間に過ぎてしまいます。
その短い期間が運命を左右するといっても過言ではありません。成長し、本好きになれば、自分でどんどん読むようになります。後は親は楽ですよ!

時間確保の具体例をご紹介します。読み聞かせをするのがお母さんの場合です。(お父さん、ごめんなさい。また別の機会にお話します。)

A さんは、ご主人様がスポーツ番組を見ている夜7時から8時半の1時間半を読み聞かせの時間に当てているとのことでした。
ご主人様は静かにスポーツ観戦が出来、ママは子どもと密なスキンシップが楽しめす両方が嬉しい良い方法です。

Bさんは、夜だらだらと寝る準備をする子どもたちに、「絵本の時間が少なくなるわよ」と魔法の言葉を言えば、あっというまにシャワー、歯磨き、着替えなどが終わってしまうと言っていました。(笑)
寝る時間の決まっているご家庭で使える方法ですね。

ワーキングママのCさんは、頑張ってみんなよりちょっと早起きして、自分の身支度や家族の食事の用意など一人で出来ることはみんなが起きる前に済ませてしまい、朝はバタバタしないようにしています。
可能ならば、後片付けはパートナーに頼みましょう。
子どもたちの準備もすべて終わらせ、デイケアや学校の出発の時間まで30分くらい余るようにします。
そして、出発時間までをタイマーをかけて読み聞かせ。途中何かあっても時間があるので気分的にも余裕があるそうです。

比較的時間のあるママの場合、乳幼児への読み聞かせの時間は比較的融通がきくと思いますが、「お昼寝の前」とか「夜寝る前」などと決めておくと習慣化するので良いと思います。
就学児の場合、読み聞かせの時間のお勧めは、「宿題の後すぐ」。
1,2年生までは宿題にかかる時間は10分から20分ですから、続けて30分を読み聞かせに使います。子どもの習い事やママの仕事で難しいのならば、夜寝る前にします。

赤ちゃんのいるご家庭では、上のお子さんとの読み聞かせの時間を大事にしましょう。
それでなくても赤ちゃんにお母さんとの時間を取られていると感じがちなお兄ちゃん、お姉ちゃんです。上の子が家にいる幼児の場合には赤ちゃんのお昼寝の時間を使うようにしますが、 就学児の場合、夜、パートナーに赤ちゃんの世話をお願いして30分を確保し、ママと上の子だけの時間にします。

五、に関しては、出来れば当サービスからは月20冊以上を利用して、毎日3,4冊は読むようにしてみてください。
誤解のないように特筆させていただきますが、決して営業や勧誘で申し上げているのではありません。 あくまでも「月10冊も読めば十分」という誤解のないようにです。
はっきり申し上げて、海外でバイリンガル育児をする際に、日本語絵本の読み聞かせが月10冊では足りません。
絵本の品質維持・管理に手間がかかるため、貸出冊数が増える分料金は上げさせていただいておりますが、たった数ドルの差です。子どもの将来への投資としては微々たる金額だと思いませんか? どうぞ料金表をご確認下さい。

月20冊(以上)は後々の大きな違いを生みます。確実に語彙力、学力向上に効果が上がります。
就学前の0歳から4歳になるまでが勝負です。
既に4歳を超えている場合、狙うのであれば最低ラインはやはり月20冊です。

ここで、月20冊以上をご利用の育ったお子さんの例を挙げてみましょう。
1歳半で3歳児並みの語彙でお話する子、2歳で文字を覚えカルタ遊びの出来る子、3歳半で4−5歳レベルの絵本を一人ですらすらと読める子、5歳で中学生レベルの本を読める子など、ほかにも驚くべき能力を見せてくれる子どもたちがいます。
上の一から五を実践しているママ、パパのもと、赤ちゃんのころから数多くの絵本を読んでもらい、賢く育った子どもたちです。
その子たちが就学してしまうとなかなかお会いできなくなるので、しばらくしてから様子を聞いてみるのですが、学校でもなかなか優秀な様子が伺えます。
学力が学年でトップだと話してくださるかたが何人もいらっしゃいます。

赤ちゃんのころから絵本に慣れ親しんでいると、語彙や表現が豊かでコミュニケーション能力の高い子どもに育ちます。
胎教から始めて、大きな成果を上げている方もいるようです。
米国の研究(1歳半からの子どもを対象)では、言葉を覚えるのが早い子、語彙が豊富な子どもは、感情のコントロールが上手くなることがわかっています。

赤ちゃんが絵本に集中できる時間は短いので、1〜3分程度から始めて徐々に増やしていくようにします。

ただ活字を読むのではなく言葉かけもたくさんして、赤ちゃんの発する「あーあー」や、「ぶっうー!」にも答えてあげるようにします。絵本を使って親子のコミュニケーションを楽しんでください。
集中を促すには指差しを活用します。 指先で絵をトントンとたたくと赤ちゃんの目線がさっと移動するのがわかると思います。
大袈裟なくらいに声の調子を変えて読むようにすると、喜びますよ。

赤ちゃんは喋れませんが、親が思う以上に言葉を理解しています。 「赤ちゃんはお話なんか分からないから」と決め付けないで、可能ならば生後まもなくから読み聞かせを始めてください。
いつかコップの水が溢れるように言葉が出てきます。
質の良いインプットをしないと質の良いアウトプットは出来ません。絵本の中には会話ではなかなか出てこない美しい言葉や豊かな表現がありますので、大いに活用しましょう。
読み聞かせを始めるのは、月齢が早ければ早いほどいいと感じます。

逆のパターンについてもお話しましょう。
「思ったように成果が出なかった」、「子どもが気に入らなかった」 といって一年以内にやめた方の例です。
大変失礼な言い方になるかもしれませんが、これからが育児の本番という方が過去の失敗例を知ることは、成功例を知る以上に大切ではないかと思います。

「思ったように成果が出なかった」とおっしゃる方には、やはりいくつか共通点がありますが、 中でも必ず共通する点が二つあります。

一、5歳を過ぎてから始める。
二、月に10冊程度しか読まない。

一つ目、「5歳になるまで殆ど日本語絵本を読まず、英語を話すことが親から許されている環境で育っている」 のであれば、子どもの言葉が間違いなく英語のほうがつよくなっているはずです。
友達との英語での会話も盛んで、この時点で日本語での会話を強制されたり、日本語を勉強することは窮屈に感じてしまいます。下手をすると日本語自体を拒否するようになりますので注意が必要です。
経験上、4歳までならまだ手を打ちようがありますが、プレップ後から始めるのでは、かなりの確率で日本語維持は難しくなると思います。
教師でもある友人の話を紹介すると、「幼児期に親に本を読んでもらえなかった子は、補習校に進んでも2年ももたない」 そうです。

二つ目、正直に申し上げて、子どもの言葉を育てるのに月に10冊程度というのは読まなさすぎです。
  当サービスでは貸出は10冊からの設定がありますが、注意事項にもあるように、これは既にご自宅に本をたくさん(最低100冊)お持ちの方用に設定させていただいております。
赤ちゃんのころからご自宅の本を読みきかせている方が、「もう読み飽きてしまった。子どもはどんどん違う本を読みたがるようになり、今はこどもとしょかんを利用している。」という状況であれば、10冊でも大丈夫な場合があります。

ご入会の際に、「とりあえず10冊から」とおっしゃった方は要注意です。 たとえ赤ちゃんの頃から始めたとしても、英語圏で過ごす限り、日常会話と10冊の絵本だけでは、子どもが4歳までに必要な語彙力に届くことはほぼありません。
そして、上記の「期待したような成果が出なかった」という結果に終わります。
出来る限り早めに冊数を増やしてください。

「子どもが絵本を気に入らなかった」という話は、理由は簡単です。
親が絵本を教科書代わりにしてしまうからです。
絵本は本来楽しむものです。親からの「さあ、日本語を勉強するわよ」という無言のメッセージは、子どもにすぐ伝わってしまいます。
子どもに読み聞かせを拒否されてしまった経験のある方、この無言のメッセージにお心当たりはありませんか?

子どもの絵本に対する反応が薄いと感じる方は、今後は質の良い絵本を選んで読み聞かせをすることも大切だと思います。
40年、50年と読まれ続けてきたロングセラー、ベストセラーの絵本には「選ばれてきた特別な理由」があります。
ご自宅の絵本、スタンダードプランの絵本で子どもの反応が薄い場合には、厳選えほんセットプラン、ネット予約プランのロングセラー、ベストセラー絵本をお勧めいたします。

最後に、「読み聞かせは何歳まで続けたらよいか」という質問についてお答えいたします。

答えは、「子どもが「もういい」と言うまでいつまでも!」です。
本を読んでもらって楽しい、嬉しいという経験が、子どもを本好きに育てます。
本が好きになりさえすれば、あとは自分でどんどん読むようになります。賢い子に育ちますよ。
高学年であっても、スキンシップとして親に本を読んでもらうのが嬉しい子はたくさんいます。読み聞かせでは、「自分で読むのはちょっと難しいかな」 くらいの本を選んでください。

以上です。

同じようなお悩みを持つ方に少しでも参考になれば幸いです。

長文にも関わらず、最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。