” 月に10冊 ” をご利用の方へ
2016年10月17日

ご入会の際に、「月に10冊でも多いかなと思った」と言われた方がいました。
「とりあえず10冊から」とおっしゃる方も多いです。
ここに誤解があってはいけないと思い、ニュースレター(コラム)にすることにしました。

海外で子どもの日本語を育てたいと思うならば、最も大切なのは 「 就学するまでに言葉の基礎をしっかり築く 」 という事です。
そのためには、一時帰国を定期的にしたり、通信教育や日本語デイケアなどを利用したり、日本語のプレイグループでお友達を作ったりなどいくつか方法はあると思いますが、「 日本語絵本の読み聞かせ 」は絶対に外せない基本です。
就学するまでに日本語語彙の基礎が出来ていないと、教科書で学習するようになった際に、まず間違いなく語彙不足の為についていけなくなります。

折角、ご縁があってこどもとしょかんをご利用いただいておりますのに、数年後に「思ったように効果がなかった」と思われてしまっては私も残念です。

結論から申し上げると、読み聞かせは月に15冊以上を強くおすすめします。
理由は以下のとおりです。

1、「月に10冊の読み聞かせ」は、海外で生活する上で、子どもの日本語を育てるのに十分な冊数ではありません!!

「月に10冊」は、日本にいる場合に子どもに読み聞かせる冊数です。
もし、今、ご自宅に100冊ほどの絵本がないのであれば、月に15冊の読み聞かせは最低ラインだと考えてください。
月10冊のご利用のまま子どもが小学校に上がった場合、たとえ読み聞かせを長く続けていらっしゃったとしても、親の日本語育児に対する悩みは深くなる傾向があります。
逆に、赤ちゃんの頃からたくさんの絵本を読み聞かせてきたという方にお話を伺うと、(お子さんは日本語が流暢ですから)他のお母さんがどうしてそんなに悩むのか、と不思議に思えるそうです。
実際、赤ちゃんの頃から月に15〜40冊以上の読み聞かせを続け、既に小学校に上がったお子さんのいる親御さんからは、私も「お陰様で」とよく言われます。その差は顕著に現れています。

2、たくさんの絵本を読み、多くの日本語の表現に触れることによって、子どもの語彙力を育てます。

どんなに高学歴の親が、どんなに丁寧な言葉を使ったとしても、会話だけでは子どもの言葉は十分には育ちません。 「 子どもの語彙力は読み聞かせの量に比例する 」といってよいと思います。
絵本の中には子どもの知らない言葉がたくさん出てきます。初めてきいた言葉で最初は意味がわからなくても、多くの本に触れる中で何度か聞くうちにイメージ出来るようになります。 また、「その言葉の意味を知りたい」と思うようにもなり、学習意欲にも繋がります。
小さいお子さんは、お話の流れや絵をみてその言葉のイメージが出来るようになれば大丈夫です。 読み聞かせの量が増えれば、それだけ語彙力が上がり理解の幅はぐんと広がります。

3、様々な内容の絵本を読み聞かせてあげてください。

絵本の読み聞かせをする理由は、何も語彙力の向上だけではありませんね。子どもの想像力や情緒が豊かになったり、集中力がついたり、本好きに育ったり、親子のコミュニケーションに良かったりと、このほかにもいい点はたくさんあります。
ワクワクやドキドキ感、お話を通しての疑似体験、面白い発見は多いほうが良いです。子どもが意外なことに興味を示し、親が驚くことがあるかもしれません。

4、理想は購入・・・とは言え、海外にいると実際には難しいですよね。

今や絵本は一冊1500円の時代です。 たとえ中古であったとしても、海外に住んでいて毎月15冊のペースで読めるほどの量の本の購入は難しいかもしれません。
こどもとしょかんのスタンダードプランの絵本なら、月15冊でも $19.00 です。 ご自宅などへの宅配料金が含まれる上に購入一冊の値段とさほど変わりはないことにお気づきいただけると思います。月額利用のレンタルだから設定可能な料金なのです。
厳選えほんセットやネット予約のご利用なら、さらに質の高い絵本を楽しんでいただけます。

最後に、こどもとしょかんの月10冊の料金は、既にご自宅にたくさんの絵本(100冊程度)をお持ちだという方のために設定しております。
繰り返しになりますが、「月に10冊の読み聞かせ」は子どもの日本語を育てるのに十分な冊数ではありません。
日本語の語彙力向上の為であれば、是非15冊以上をご利用ください。
二人以上のお子さんがいらっしゃる場合には、お子さんの年齢によって最良のご利用方法が異なりますので、ご相談いただければ幸いです。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

※追記 このニュースレター(コラム)の配信直後に、ある会員様からメールを頂戴いたしました。
私自身、とても興味深く読ませていただきました。

その方は、「月10冊借りて効果がない、と感じていらっしゃる方の気持ちも分かります」とした上で、ご自身の体験談をメールにて綴っておられます。
久しぶりに会った知り合いの方から、お子さんの日本語がすごく上達したと褒めて頂くことが何度かあり、皆さんに何をやったのかと聞かれたそうです。

御本人様の了承の下、個人名など一部内容を変更して 会員様の声のページ 「読み聞かせの積み重ねは、必ず効果が出ます!」 にてご紹介させていただいております。
このお話は間違いなく皆さまの参考になると思います。お忙しい方も是非、少しだけお時間をいただき読んでいただければ幸いです。